『新世紀エヴァンゲリオン』の監督を務めた庵野秀明 演出意図の根底には、観客の感情を揺さぶり、既存の「アニメのお約束」を解体する狙いが常に存在していました。第1話から終盤にかけて主人公・碇シンジたちが精神的に追い詰められていく過酷なドラマを描きながら、予告編では一転してスピーディなカット割りと軽妙な語りを配置する手法は、一種の心理的断絶を生み出す構造になっています。
ここで決定的な役割を果たしたのが、作曲家・鷺巣詩郎が手掛けたエヴァ 次回予告 BGM(楽曲名「次回予告 / 3EM26(E-16)」)です。軽快な手拍子(ハンドクラップ)とスリリングなブラスセクションで構成されたテンポの良い劇伴は、本編の不穏な余韻を瞬時に断ち切り、視聴者のアドレナリンを強制的に呼び起こす効果を持ちます。
作品が後半に進むにつれて物語の鬱展開が加速し、キャラクターの精神崩壊が描かれる局面であっても、ミサトの「サービス、サービス」という声だけは執拗に明るさを保ち続けました。この強烈なコントラストこそが、観客に対して「これは作り物(フィクション)である」という批評的視点(メタ視点)を意識させ、庵野監督が仕掛けた最大の演出トラップとして機能したのです。