「長方形の面積は『たて×よこ』なのに、なぜ形が似ている平行四辺形では斜めの辺(となり合う辺)をかけてはいけないのか?」——この疑問こそ、図形の本質を突いた極めて鋭い着眼点です。
結論から言えば、平行四辺形は「長方形を横からグッと押しつぶした形」だからです。
同じ長さの4本の棒で長方形の枠を作り、横から力を加えて平行四辺形へと押し倒していく場面を想像してみてください。4辺の長さは1ミリも変わっていませんが、図形の内側のスペース(面積)はどんどん潰れて狭くなり、最後にはペシャンコになって面積がゼロになってしまいます。もし「底辺×斜めの辺」で面積を求めてしまうと、どれだけ押しつぶしても面積が変わらないという矛盾が生じてしまいます。
公式の成り立ちを図形的に見ると、その理由はさらに明白です。平行四辺形の一端にある直角三角形をハサミで切り取り、反対側の端にピタリと貼り合わせると、全く同じ面積の「長方形」が完成します。この変形した長方形の横の長さは「平行四辺形の底辺」、たての長さは「平行四辺形の垂直な高さ」と完全に一致します。これが、公式が「底辺×高さ」になる揺るぎない理由です。