鬼才・升田幸三の勝負哲学と生涯|名人に香車を引いた男の真相

鬼才・升田幸三の勝負哲学と生涯|名人に香車を引いた男の真相

鬼才・升田幸三の勝負哲学と生涯|名人に香車を引いた男の真相の全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。

ネット上のコミュニティやSNS、将棋ファンの集う場では、升田幸三のキャラクターについて「単なる傲慢な自信家だったのか、それとも真の偉人だったのか」という議論が定期的に巻き起こります。当時の関係者証言や現代ファンの分析を照らし合わせると、升田の人間的魅力の実態が浮き彫りになってきます。

世間を驚愕させた代表的な伝説が、終戦直後のGHQ(連合国軍最高司令部)論破事件です。占領軍が「将棋は取った相手の駒を味方として使う残虐なゲームであり、軍国主義思想を助長する」として禁止しようとした際、升田は単身GHQ本部に乗り込みました。そこで升田はこう啖呵を切ったと伝えられています。

「チェスこそ王様が危なくなるとクイーンを盾にして逃げる女性蔑視のゲームであり、取った駒を殺して二度と使わない虐殺の遊戯だ。将棋は違う。捕虜を殺さず、自軍の戦力として能力を発揮させる。これこそ民主主義と平和の精神ではないか」

この理路整然とした反論に米軍将校は言葉を失い、将棋の存続が認められたという逸話です。一部に後世の誇張が含まれるとの指摘もありますが、升田の類稀な胆力と機転が将棋界を救う防波堤となったことは歴史的事実です。

また、盤上を離れた升田は無類の酒豪であり、川端康成や坂口安吾、吉川英治といった昭和を代表する文豪たちと対等に渡り合いました。ファンからは「発言は過激だが、敗れた後には一切の言い訳をせず潔く負けを認める」「弱者や子どもには驚くほど優しかった」という証言が数多く残されています。傲慢さの裏側にあった圧倒的な純粋さと弱者への温情こそが、没後も人々を惹きつけてやまない理由です。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。