国内の柔道界から完全に締め出された内柴氏が最初に見出した活路は、海外でした。出所翌年の2018年、中央アジアのキルギス共和国から柔道男子代表チームの総監督(指導者)就任のオファーを受け、単身で現地に渡航。中央アジアの荒削りな選手たちに日本の緻密な組手や寝技技術を叩き込み、国際大会で成果を挙げるなど、指導者としての類まれな手腕を改めて証明しました。
しかし、契約満了や新型コロナウイルスの世界的な混乱に伴い帰国を余儀なくされます。日本国内で柔道の指導ができない彼が次に向かった新天地が、「ブラジリアン柔術(BJJ)」およびサブミッション・グラップリングの世界でした。柔術界は全柔連の管轄外であり、個人の技術と実力がダイレクトに評価される土壌が存在したためです。
2021年以降、国内の柔術大会(JBJJF主催大会やマスター部門)やグラップリングイベント『QUINTET』の関連大会などに精力的に参戦。全盛期を過ぎた40代でありながら、五輪王者の卓越した体幹と寝技のプレッシャーは健在で、数々の大会で階級別・無差別級の優勝を飾りました。道着を着て再び畳の上に立つその姿は、格闘技界に賛否両論の巨大な波紋を広げつつも、純粋なアスリートとしての圧倒的な強烈さを印象付けました。