「抱っこは極力控えるべき」とはいえ、爪切り、換毛期のグルーミング、動物病院への受診、さらには災害時の緊急避難など、人為的に体をホールドしなければならない局面は必ず訪れます。暴れやすい個体でも安全かつ迅速にケアを完結させる切り札が、タオルを使った保定方法(通称:バニーブリトー)です。
準備するものは、うさぎの体長の2倍程度の大きさがある厚手のバスタオル1枚です。
まず、机や床の上にタオルを広げ、中央よりやや手前にうさぎを伏せの姿勢で座らせます。次に、タオルの片側を持ち上げ、首の後ろに沿わせるようにして背中から反対側の脇腹へしっかりと巻き込みます。反対側の端も同様に重ね合わせ、うさぎの体を適度な圧で包み込みます。最後に、余った足元のタオルをお尻の下へ折り込み、後肢の蹴り出しを完全にブロックします。
首元だけが露出した「春巻き」のような状態を作ることで、うさぎは狭い穴に入ったような暗闇の安心感を得て急速に落ち着きます。この状態から足を1本ずつタオルの隙間から引き出して切る手順こそが、獣医師も実践するうさぎ爪切りの抱き方のスタンダードです。爪切り中に暴れて血管を切ってしまう出血事故や、骨折事故をほぼ完全にシャットアウトできます。
日常のトレーニングとしては、焦らず数週間から数ヶ月単位でステップアップするうさぎ抱っこ慣らし方を取り入れます。
第1段階は「床の上で胸とお尻に手を添えるだけ(1秒で離す)」。嫌がらなければ即座に大好物のペレットや乾燥ハーブを与え、「手に触れられる=良いことが起きる」と条件付けします。第2段階は「前足を1センチだけ浮かせて下ろす」。第3段階で「お尻をすくい、膝の上に移動させる」。警戒心を解くコツは、決してうさぎが「暴れてから下ろす」のではなく、「暴れる前の平穏な瞬間に人間から解放して褒める」ことです。暴れて逃げられた経験を与えてしまうと、「暴れれば人間は手を引く」と学習し、次回以降の抵抗が激化してしまいます。