家電、自動車、パソコンの内部で目にする六角星型の窪みを持つネジは、一般にトルクスネジという通称で広く知られています。しかし、この「TORX(トルクス)」という呼称は、1967年にアメリカのテキストロン(Textron)社傘下のカムカー(Camcar)部門が開発・特許取得を行った登録商標です。
国際標準化機構(ISO)のISO 10664規格では「ヘクサロビュラー・インターナル(hexalobular internal)」と規定され、日本産業規格(JIS)のJIS B 1015においてはヘックスローブ(Hexlobe=6つの耳たぶ状突起)という名称で標準化されています。現在では特許期間が満了しているため世界中のネジメーカーで製造されており、工業部品通販大手のミスミやモノタロウでも数十万点規模で常時流通する極めて普遍的な機械要素となっています。
六角星型という独特の幾何学パターンは、単なるデザインではなく緻密な力学計算の結晶です。角部が円弧を描く曲線で構成されているため、工具先端を挿入した際に接触面全体へ均等に応力が分散され、金属疲労や摩耗を最小限に抑える設計思想が根底にあります。