くも膜下出血の主原因は、脳の血管にできたコブである脳動脈瘤の破裂が約8割以上を占めます。破裂によってくも膜下腔と呼ばれる脳の隙間に血液が急速に広がり、脳圧が急上昇することで、経験したことのない突然の激しい頭痛が引き起こされます。
しかし、救急現場でCTを撮影しても「異常なし」と判定されてしまうケースが存在します。その最大の要因として挙げられるのが、発症時間とCT感度の低下、そして出血量の少なさです。
脳動脈瘤が完全に破裂する前に、ごく少量の血液が滲み出る「警告出血(warning leak)」が起きた場合、くも膜下腔に広がる血液の層が極めて薄くなります。CT装置の解像度を下回る微量の出血では画像上に変化が現れず、医師が読影しても「異常所見なし」と判断されてしまう技術的な限界が存在します。
さらに、患者が極度の貧血状態にある場合、血液中のヘモグロビン濃度が低いため、CT画像上で正常な脳組織と出血箇所のコントラスト差がつかず、出血部位がマスキングされてしまう現象も臨床上の大きな落とし穴です。