「水害で価格が落ちたら買いたい」と待ち構えていた実需層の期待は、見事に裏切られた。SUUMOやLIFULL HOME'Sが公開する流通データを見れば一目瞭然だが、武蔵小杉の中古成約平米単価は下落するどころか、首都圏全体のインフレと連動して右肩上がりの推移を維持している。坪単価は450万円から500万円台後半が定位置となり、駅直結や築浅の上位物件では坪600万円台の取引すら珍しくない。
実際の住み心地はどうなのか。現地取材で住民が口を揃えるのは、半径数百メートルで完結する圧倒的な生活効率の高さだ。大型商業施設と直結するペデストリアンデッキ、駅周辺に密集する認可保育所や小児科クリニック、そして敷地内の公開空地に整備された豊かな植栽。エレベーターの待ち時間や風配図への配慮といった超高層特有の課題は残るものの、日常のタイムパフォーマンスを最大化したい層にとって、この街の居住環境は替えがきかない価値を持っている。