ネットや旅行ファンの間で「まるで異世界に迷い込んだようだ」と囁かれる錦秋湖の景観美。その噂の真相と人々を強く惹きつける理由は、単なる自然美だけではなく、湯田ダムの緻密な治水管理が作り出す水位のダイナミズムにあります。
錦秋湖は、豪雪地帯である奥羽山脈の雪解け水を一手に引き受ける役割を担っています。春先になると大量の融雪水が流れ込み、ダム湖は年間で最も高い水位に達します。この短期間だけ、湖畔に自生するヤナギの木々が根本から水に浸かり、新緑のエメラルドグリーンと相まって幻想的な「水没林」を現出させるのです。
夏に向けて洪水を防ぐために水位を大きく下げ、秋には湖水が静穏さを取り戻します。昼夜の寒暖差が大きい西和賀の気候が、湖畔を取り囲む広葉樹を一気に鮮やかな朱色や黄金色へと染め上げます。「水没林の儚さ」と「錦を織りなすような秋の極彩色」、この極端な二面性こそが、季節を変えて何度でも足を運ばせる最大の引力となっています。