愛原実花を語る上で欠かせないのが、劇作家・演出家として昭和から平成の演劇界に革命を起こした父親・つかこうへい(本名:生田恵三)の存在です。本名は生田実花。演劇界の怪物の血を引く彼女ですが、その生い立ちは決して平坦な「お嬢様育ち」ではありませんでした。
幼少期から父の稽古場に連れられ、役者たちが怒号と情熱の中で芝居を生み出す熱気を目撃していた愛原実花。しかし、宝塚音楽学校を受験する際、彼女は「父の力や名声に一切頼らない」という強い決意を固めていました。事実、音楽学校入学当初はつかこうへいの娘であることを周囲に公表せず、自らの技術と努力だけで選考を突破しています。
一方、型破りな演出で知られた父・つかこうへいも、娘の実花に対しては深い愛情を注いでいました。関係者の証言によると、娘の宝塚歌劇団での公演には人目を忍んで劇場に足を運び、客席の隅から誰よりも熱心に舞台を見守っていたといいます。娘の自立を尊重し、過剰に干渉しない父と、父の看板を背負わずに実力で証明しようとした娘。二人の間には、言葉を超えた表現者同士の静かなリスペクトと深い絆が存在していました。