首都圏の主要路線でホームドアの整備が急速に進む中、「中央快速線はなぜこれほど遅いのか」と疑問を抱いていた利用者は少なくありません。その根本的な理由は、JR東日本が進めてきた中央線快速への2階建てグリーン車導入と12両化プロジェクトにあります。
従来の10両編成から12両編成へと延伸するためには、東京〜大月間の全駅でホームを約40メートル延伸する工事が必要でした。ホームドアを先に設置してしまうと、後から行うホーム延伸工事や停止位置の変更時にドア位置がずれてしまい、莫大な二重投資と長期の運用停止が発生します。そのため、ホーム延伸、信号設備の更新、線路配線の変更といった大規模な土木改修が完了するまで、本格的な中央線12両化ホームドア工事に着手できない構造的ジレンマを抱えていたのです。
さらに、中央線の過密運行を維持しながら夜間の限られた時間帯(終電から初電までのわずか2〜3時間)だけで重量のあるホームドア部材の搬入やホーム床面の補強を行う必要がありました。グリーン車の本格営業運転が定着した現在、ようやくホームドア本体の据え付け工事が本格化しています。