明治32年の創業以来、東京の宿文化を牽引してきた株式会社龍名館。その旗艦拠点であるホテル龍名館お茶の水本店のメインダイニングとして、この場所は誕生した。伝統に安住せず、常に時代の半歩先を見据える同社が立ち上げた挑戦、それが「茶を食す」プロジェクトである。
仕掛け人の一人である料理人・浜田敏男の手腕により、お茶は「飲むもの」から「料理の骨格を成す主役」へと見事に昇華を遂げた。単に抹茶パウダーを振りかけるような安易な演出ではない。茶葉を煮出す、燻す、油に移す、あるいは細かく砕いて衣に纏わせる――。長年培われた和の技法を総動員し、茶の苦みや渋みを旨味へと転換させている。
インバウンド需要の回復とともに激変する現代の外食・ホテル観光産業において、単なる宿泊や食事を超えた「本物の日本文化体験」を提供する同店の姿勢は、国内外のゲストから際立った評価を獲得している。