時短レシピブームの影響で、SNSや動画サイトでは「イカゲソを野菜と一緒にフードプロセッサーに入れて一瞬でタネを作る」という手法が散見されます。しかし、これはイカメンチカツにおいて最も避けるべき落とし穴です。
大手レシピサイトの知恵袋やコミュニティでは、「機械でペースト状にしたら、揚げる際に猛烈に油が跳ねた」「カマボコのように硬く締まって、イカのメンチカツとは別物になってしまった」という失敗談が後を絶ちません。フードプロセッサーの高速回転ブレードは、イカの筋繊維を不規則にズタズタに引き裂き、過度な摩擦熱を与えてタンパク質の離水を促進させます。結果として、タネがドロドロになって成形できなくなり、無理に粉を足すことで重く硬い仕上がりになってしまうのです。
また、「パン粉を二重につけるとサクサクになる」という俗説も誤りです。イカメンチはタネ自体に野菜の蒸気が含まれているため、衣が分厚すぎると内部の蒸気が衣の内側に滞留し、油から引き上げて数分後にはフニャフニャと湿気てしまいます。極細目のパン粉を「薄く均一にまとわせる」ことこそが、長時間軽やかなクリスピー感を保つプロの鉄則です。