「スマートシティ」という言葉が手垢にまみれて久しい。大都市中心の効率化ばかりが叫ばれる中、地方の現場が必要としていたのは別の何かだった。彼女が開発したシステムは、スマホを持たない高齢者でも直感的に使える音声入力デバイスを起点にしている。毎朝の「おはよう」の一言が、体調確認だけでなく、地域の共同農作業のシフト調整や、買い出しの乗り合い手配へと自動的に繋がっていく。
このシステムが導入された徳島県のある集落では、孤立死がゼロになっただけでなく、余剰作物の流通ルートが確立され、高齢者の平均月収が数万円向上したという。デジタルをインフラではなく、空気のように存在させること。これこそが、彼女がもたらした最大のブレイクスルーだ。