最大の疑問である「なぜ告知・聴聞の手続きを省いた使用禁止命令が合憲とされたのか」について、最高裁は極めて精緻な利益衡量を行いました。
本来、不利益な行政処分を科す際には、当事者に弁明の機会を与える「告知・聴聞」が適正手続の基本です。しかし最高裁は、成田空港周辺の状況が「航空の危険を生じさせ、多数の利用客の生命・身体に甚大な危害を及ぼす高度の蓋然性」を抱えていた特殊事情を重く見ました。
もし事前に「○月○日に使用禁止命令を出すので意見を聞く」と通知すれば、その期日までに武器を運び込んだり、さらなる要塞化を進めたりして、かえってゲリラ攻撃を誘発する恐れがありました。最高裁は、このような「急迫・緊急の必要性」が存在する例外的な状況下では、事前の告知・聴聞を欠いていたとしても憲法31条に違反しないと結論付けたのです。