人間機雷「伏龍」の真相|本土決戦に備えた幻の特攻兵器と実戦の真実

人間機雷「伏龍」の真相|本土決戦に備えた幻の特攻兵器と実戦の真実

人間機雷「伏龍」の真相|本土決戦に備えた幻の特攻兵器と実戦の真実の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。

伏龍が兵器として成立するために開発されたのが、特殊な潜水具と攻撃用の武装でした。しかし、そのいずれもが極めて未完成であり、搭乗員に致死的なリスクを強いる構造となっていました。

まず注目すべきは、伏龍の潜水具の仕組みです。通常のスクーバ潜水とは異なり、海面に気泡を排出すると敵の舟艇や警戒機に位置を露見されてしまうため、呼気中の気泡を外に出さない「半閉鎖回路・循環式潜水器」が採用されました。背中に背負った2本の高圧酸素ボンベから酸素を供給し、吐き出した二酸化炭素(炭酸ガス)は胸元の吸収缶に充填された水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)に吸着させて循環させる構造です。理論上は呼気の泡を出さず、最長で5時間前後も海底を歩行・待機できると計算されていました。

攻撃兵器として隊員が手にしたのは、通称「五式撃雷」と呼ばれる棒機雷でした。約3.3メートルから5メートルの竹竿や樫の棒の先端に、円錐形のキャニスターに入った15キログラムの炸薬と触発信管を取り付けた構造です。隊員は海底から見上げた船底の影に向かって、棒機雷を両手で強く突き上げて起爆させる運用が想定されていました。

しかし、水中における爆薬の衝撃波は空気中とは比較にならない破壊力を持ちます。水深数メートルの場所で15キログラムの炸薬が起爆した場合、爆心地からわずか数メートルの距離にいる潜水兵が生還できる物理的余地は最初から皆無でした。さらに、棒機雷を突き上げる瞬間に周囲の隊員も水圧の直撃を受けるため、1人が攻撃すれば半径数十メートル以内の味方も内臓破裂で全滅するという、戦術的合理性を著しく欠いた兵器でした。

吉田 誠
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吉田 誠

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