チワワには、さらりとした短毛が特徴の「スムースコート」と、飾り毛がエレガントな長毛の「ロングコート」の2種類が存在します。一般的に「短毛種のスムースコートのほうが毛の手入れが楽で抜け毛も少ない」と信じられがちですが、これは臨床現場の獣医師やトリマーが口を揃えて否定する代表的な思い込みの一つです。
犬の被毛構造には、皮膚を守るオーバーコート(上毛)と体温調節を担うアンダーコート(下毛)の二層を持つ「ダブルコート」と、上毛のみで構成される「シングルコート」が存在します。チワワは原則としてダブルコートの犬種であり、ロングコートはもちろんのこと、スムースコートであっても例外ではありません(※ごく稀に遺伝的要因でアンダーコートが極めて薄い個体も存在します)。
チワワスムースコート抜け毛の特徴は、1本1本が短く硬質な「針のような毛」が大量に抜け落ちる点にあります。カーペットや布製ソファ、飼い主の衣服の繊維深くに突き刺さるため、粘着ローラーでも除去しにくく、掃除の手間という観点ではロングコート以上に飼い主を悩ませるケースが多々あります。また、毛が短いぶん皮膚が外気や紫外線、乾燥などの外部刺激に直接晒されやすいため、皮膚バリア機能の低下による脱毛リスクが高い傾向にあります。
対してチワワロングコート抜け毛は、細く柔らかいアンダーコートが綿状になって抜け落ちます。毛足が長いため、抜けた毛がそのまま床に落ちず、生きている周囲の毛に絡まって留まりやすいのが特徴です。この抜け毛を放置すると、わずか数日でフェルト状の頑固な「毛玉(毛球症)」を形成し、皮膚の通気性を著しく損ないます。毛玉の下で細菌が繁殖して重度の湿疹を引き起こし、毛玉をブラッシングで無理やり解こうとした際に皮膚ごと引っ張られて脱毛が拡大するトラブルが頻発しています。