今なお語り継がれる『ホーム・アローン』の舞台裏には、キャサリン・オハラの卓越したアドリブと細やかな気配りがあった。巨匠ジョン・ヒューズの脚本とクリス・コロンバス監督の演出のもと、彼女は単なる「うっかりした母親」ではなく、「狂おしいほどの母性を持つコミカルな女性」としてケイト像を構築していった。
空港でケビンがいないことに気づき、白目をむいて失神する名シーンや、飛行機内で突如「KEVIN!!」と叫ぶ象徴的なカットは、キャサリンの完璧な表情筋のコントロールと声のトーンが生み出した映画史に残る名場面だ。
当時まだ9歳だったマコーレー・カルキンに対し、キャサリンは撮影の合間も本物の母親のように優しく接していたという。「映画の中では冷酷に置き去りにしてしまう役だからこそ、カメラが止まったら彼を思いきり抱きしめて安心させようと決めていた」と、後年のインタビューで温かな舞台裏を明かしている。