アルプスの厳しい気候風土の中で、人々の暮らしを陰から支え続けてきた四種のアルプンドッグ。その中でもひときわ優美なトリカラーの被毛を纏うのが、スイス・マウンテン・ドッグの系譜を引く彼らだ。かつては乳製品を運ぶ荷車を力強く引き、牧場では牛の群れを誘導する作業犬(ワーキングドッグ)として八面六臂の活躍を見せていた。
19世紀末、産業革命の波に押されて一時的に絶滅の危機に直面したものの、愛好家たちの情熱的な保護活動によって劇的な復活を果たした。重厚な骨格と引き締まった筋肉、そして何よりも人に対する深い信頼心。一度その瞳と向き合えば、彼らが単なる力仕事の担い手ではなく、古くから人間の心に寄り添う理解者であったことが痛いほど伝わってくる。