この闘いにおいて、同じく宝塚歌劇団の舞台人として生きていた妹の存在を抜きに語ることはできません。有愛きいさんの双子の妹である一禾あおさんは、雪組に所属する実力派の男役スター(102期生)として将来を嘱望されていました。
姉の急逝以降、一禾さんは舞台出演を見合わせ、遺族の一員として劇団との交渉に立ち向かいました。母親とともに発表した手記では、「劇団は姉の尊厳を奪い、死に追いやった」「精神的な限界を超えてなお責任を果たそうとしていた姉の苦しみを無視した」という、現場に身を置く劇団員だからこそ言える切痛な告発が綴られていました。
劇団側との合意が成立した後の2024年5月、宝塚歌劇団は一禾あおさんの退団を正式に発表しました。大階段を降りる通例のサヨナラショーやファンの見送りを受けることなく、ひっそりと劇団を去る形となりました。有愛きいさんの妹の現在については、芸能界の表舞台からは距離を置き、家族とともに静かな生活を取り戻す過程にあると伝えられています。ファンや関係者の間では、才能ある若きスターが夢見た場所をこのような形で去らざるを得なかったことへの痛惜の念が今なお消えていません。