作者である山上たつひこは、日本の漫画史における金字塔を打ち立てた巨人だ。1974年から『週刊少年チャンピオン』で連載が始まった本作は、主人公・駒回りつぐ(こまわり君)という自称・少年警察官が巻き起こす常軌を逸したドタバタ劇である。
それまでのギャグ漫画の常識を徹底的に打ち壊したのは、緻密に描き込まれた美しい背景と、そこに描かれる狂気的なキャラクターとの強烈なギャップだった。劇画調の圧倒的な作画技術を持ちながら、描くのは徹底したナンセンスと破壊的なギャグ。この高低差が生み出すエネルギーは、当時の少年漫画界を根底から揺さぶった。狂気か、天才か。その境目を疾走した描写力は、半世紀を経た今見返しても全く色あせていない。