キャンプファイヤーの歌決定版!名曲の意外なルーツと心震える定番全史

キャンプファイヤーの歌決定版!名曲の意外なルーツと心震える定番全史

キャンプファイヤーの歌決定版!名曲の意外なルーツと心震える定番全史にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

誰もが口ずさんだことのあるキャンプファイヤー定番曲の筆頭といえば、「燃えろよ燃えろ」と「遠き山に日は落ちて」です。しかし、この2曲がどのような経路をたどって日本の野外教育の現場に定着したのか、その正確な歴史的背景を知る人は驚くほど少数にとどまります。

「かがり火たけよ、戸外(そと)の闇に」と力強く歌い継がれる「燃えろよ燃えろ」。この曲のメロディには、実は二つの異なる歌詞が存在します。年配世代には文部省唱歌「星影さやかに」としても知られる旋律ですが、その原曲はフランス民謡(あるいはチェコ・スロバキア民謡起源とも言われるトラディショナル・ソング)に遡ります。明治期に日本へ導入された際、天体や星空の美しさを讃える唱歌として教科書に掲載され、昭和期に入ると野外活動の普及とともに、串田孫一ら文化人や野外教育者によって「燃えろよ燃えろ」の歌詞へと姿を変えました。原曲の持つ素朴かつ勇壮なカノン(輪唱)の構造が、薪に火を宿すセレモニーの高揚感と奇跡的な親和性を見せた結果でした。

一方、静まり返る夜の幕開けや式の結びに歌われる「遠き山に日は落ちて」は、西洋クラシック音楽の金字塔から生まれた楽曲です。原曲は、チェコの作曲家アントニン・ドヴォルザークがアメリカ滞在中に遺した最高傑作、交響曲第9番『新世界より』第2楽章(ラルゴ)の美しすぎる主旋律。哀愁を帯びたイングリッシュホルンの調べに、日本の音楽評論家・作詞家の堀内敬三が情感あふれる日本語詞を乗せ、昭和初期に誕生しました。アメリカの原野で故郷ボヘミアを想ったドヴォルザークの望郷の念が、日本の夕暮れと薪の残り火に重なり、世代を超えて涙を誘うキャンプファイヤー静かな歌として定着したのです。

佐々木 一輝
著者

佐々木 一輝

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。