インターネット上の料理Tipsには、一見もっともらしく見えながら、科学的には逆効果となる情報が散見されます。美味しい揚げ浸しを作るために、今すぐ捨てるべき代表的な誤解を解き明かします。
誤解1:「なすのアク抜きのために水に長くさらす」は逆効果
昭和の料理本などで定説とされていた「切ったなすを10分以上塩水につけてアクを抜く」という工程。現在の流通しているなすは品種改良が進み、エグみは極めて微量です。むしろ水にさらすことで、細胞が過剰に水分を吸い上げ、油に入れた瞬間の大ハネを引き起こすだけでなく、揚げ温度を急降下させて油吸いの原因になります。切ったら水気を清潔な布巾でしっかりと拭き取り、間髪入れずに油へ投入するのが現代の正解です。
誤解2:「冷ましてからタレに漬けたほうが味が染みる」の嘘
煮物などの調理では「冷める過程で味が染み込む」と言われますが、揚げ浸しに関しては「揚げたての熱々を、冷たいタレにジュッと放り込む」のが鉄則です。高温に熱されたなすの内部組織は水蒸気が抜けて減圧状態(陰圧)になっています。そこへ冷たい漬け汁が触れると、組織がタレを一気に吸い上げる物理現象が発生します。冷めてから漬けても表面を覆う油膜に弾かれ、芯まで味が浸透しません。
また、なすの揚げ浸し冷やす時間と食べ頃に関しても誤解があります。出来立ての熱々も格別ですが、真骨頂は「粗熱が取れてから冷蔵庫で最低2時間寝かせた瞬間」です。冷えることでなすの繊維が締まり、凝縮されたタレの旨味とナスニンが放つ艶やかな色彩が極限に達します。
健康志向の読者から関心が高いなす揚げ浸しカロリーを抑える方法としては、フライパンに深さ5ミリ程度の油を注ぐ「多めの油での揚げ焼き」が有効です。ただし、この場合もなすの皮目を先にフライパンの底に押し当て、油を行き渡らせてから加熱をスタートさせる工夫を怠ると、色落ちを招くため注意が必要です。