破天荒な挑戦が目立つ一方で、真矢みきさんの根底にあったのは圧倒的な演技力と役作りの深さです。1995年、名トップスター・安寿ミラさんの退団を受けて花組トップスターに就任すると、数々の名作舞台で主演を務め上げました。
代表作のひとつが、名作文学を舞台化した『エデンの東』のキャル役です。父親の愛に飢え、苦悩と葛藤の狭間で激しく揺れ動く青年像を、生々しいリアリティをもって熱演。従来の「完璧で非の打ち所がない王子様」という男役像から一歩踏み出し、人間の弱さや脆さをさらけ出す演技で観客の涙を誘いました。
また、宝塚屈指の大作『風と共に去りぬ』で演じたレット・バトラー役も見逃せません。口ひげをたくわえ、包容力と皮肉めいた大人の色香を漂わせるバトラーは、真矢さんの男役としての円熟味を遺憾なく発揮した名演として高く評価されています。そして退団公演となった『SPEAKEASY -風の街の悪党たち-』に至るまで、常に「人間・真矢みき」の熱量を舞台に注ぎ込み続けました。