「技能実習制度は、もはや国際社会からの批判に耐えられない限界に達していた」。法務省および出入国在留管理庁の関係者がそう打ち明ける通り、旧制度が抱えていた最大の欺瞞は「国際貢献」という建前と「労働力確保」という本音の乖離でした。米国務省の人身売買報告書などで長年「強制労働の温床」と名指しされてきた批判をかわすため、政府は2024年6月に改正法を成立させ、実習制度を抜本的に廃止して新制度「育成就労」へ統合する方針を決定しました。
2026年現在の最新状況において、各産業界が最も注視しているのが「転籍制限の緩和基準」です。旧制度では原則として3年間の職場変更(転籍)が認められず、いかに劣悪な労働環境やパワハラがあろうとも実習生は逃げ場を失い、それが不法失踪の引き金となっていました。新制度「育成就労」では、一定の日本語能力(日本語能力試験A1相当・N5〜N4レベル)を有し、同一企業での就労期間が「原則1年〜2年」を経過していれば、本人希望による同分野内での転籍が法的に認められる枠組みへと移行します。
出入国在留管理庁の統計によると、在留ベトナム人は約50万人規模に達し、国籍別では中国に次ぐ規模を誇ります。しかし、技能実習生単体で見れば全体の45〜50%前後をベトナム国籍が占め続けてきました。制度変更によって「より待遇の良い大都市圏や他社へ人材が流出するのではないか」という地方の農林水産業や製造業の不安は凄まじく、受入企業の間では実習生の囲い込みと待遇改善の駆け引きが激化しています。