長崎孔子廟の境内へ一歩足を踏み入れると、朱塗りの門や瑠璃瓦の屋根が立ち並び、まるで本場・中国の古都に迷い込んだかのような錯覚を覚えます。中でも訪問者を圧倒するのが、大成殿の前庭に整然と居並ぶ七十二賢人像です。
この賢人像は、1982年の大規模改修時に中国政府(文化部)や北京市文物局の全面的な支援を受けて設置されたもの。孔子の高弟72人をモデルに、中国河北省で産出される高級石材「漢白玉(白大理石)」を用い、現地の最高峰の石工たちが等身大で彫り上げました。1体あたりの重量は約1.8トンにも達し、衣の柔らかなひだや一人ひとり異なる表情の彫刻美は圧巻の一言です。72体の賢人が立ち並ぶ光景は、日本国内では他に見られない特別な景観を生み出しています。
さらに敷地の最奥に位置する中国歴代博物館は、学術的にも極めて貴重な施設です。北京の中国国家博物館および故宮博物院(紫禁城)の全面協力により、中国国外で常設展示が許可された極めて珍しい直属展示場となっています。殷・周時代の青銅器から明・清時代の陶磁器や宮廷工芸品まで、国宝級の文物が時代順に展示されており、歴史ファン垂涎の展示空間が広がっています。