眼科外来の現場を取材すると、症状を軽視して重症化させてしまった患者の悲痛な声が後を絶ちません。都内の眼科クリニックに勤務する視能訓練士は、「『仕事が忙しくて病院に来られなかった』『単なるパソコン作業による眼精疲労とまぶたのむくみだと思い込んでいた』という患者さんが、まぶたが完全に塞がった状態で駆け込んでくるケースが後を絶ちません」と証言します。
コミュニティサイトやSNS上の体験談を精査しても、同様の後悔が浮き彫りになります。IT関連企業で激務をこなしていた30代男性の手記には、生々しい顛末が綴られていました。
「連日の深夜残業で強いストレスを感じていた時期、左目だけがぽってりと腫れて重くなりました。痛みは全くなかったので、ネットで見かけた蒸気温熱アイマスクで連日温め続けたのです。ところが数日後、まぶたの奥に小豆大の硬いしこりができ、目が半分しか開かなくなってしまいました。慌てて大学病院の眼科に駆け込んだところ、すでに霰粒腫が線維化しており、局所麻酔を使った切開手術を余儀なくされました。『痛くない段階で受診していれば、点眼薬だけで散らせたのに』という医師の言葉が今も耳から離れません」
また、別の20代女性は、片目の腫れと自律神経失調症の関連性に気づかず、長期の不調に悩まされたと語っています。人間関係の極度な摩擦から不眠と動悸が続き、ある朝突然右目だけがお岩さんのように腫動。皮膚科を受診して抗アレルギー薬を処方されたものの改善せず、最終的に心療内科と眼科の連携治療によって、自律神経の失調に伴う血管透過性の亢進(心因性浮腫)であることが判明しました。局所的な目の症状であっても、その根源には全身のメンタルヘルスや自律神経系のクラッシュが横たわっている実態が浮き彫りとなっています。