「肩幅が広すぎて服が破れそうになる」「肩幅が狭くてなで肩のため、バッグがずり落ちる」など、肩幅にまつわる悩みは両極端に分かれます。都内の老舗テーラーで20年以上採寸を担当してきた熟練フィッターは、フィッティング現場のリアルを次のように明かします。
「お客様の多くが『自分は肩幅が標準と違う』と思い込んで来店されます。しかし実際にメジャーを当ててみると、骨格そのものの幅が規格外な方は全体の1割にも満たない。大半は、鎖骨の角度(いかり肩かなで肩か)と、僧帽筋や三角筋の付き方によって、脳が錯覚を起こしているだけなのです」
肩幅が広い男性の特徴を観察すると、単に骨の横幅があるだけでなく、鎖骨が水平からやや右上がりに伸びる「いかり肩」であることが大半です。骨格診断における「骨格ナチュラル」タイプの男性に多く見られ、関節や鎖骨のフレームが太く、ラフなオーバーサイズの服を着ても着負けしない強靭な骨組みを持っています。
一方で、肩幅が狭い理由と改善策を求める男性の多くは、「骨格ウェーブ」タイプに該当します。鎖骨がハの字型に下がる「なで肩」傾向があり、首から肩にかけてのラインがなだらかなため、実際の骨幅よりも視覚的に狭く、華奢に見えがちです。
さらに現代特有の構造要因として見逃せないのが、長時間のデスクワークやスマートフォン操作による「巻き肩・猫背」です。肩甲骨が外側に開き、肩関節が前内側へ巻き込まれることで、胸郭が狭まり、本来持っている肩幅よりも実質的に2〜3cmほど狭まった状態に固定化されてしまっています。