ネット上のレビューで頻繁に目にする「コードレスは温まらない」という声の正体。結論から言えば、設定温度までプレート表面が到達していても、髪を挟んだ瞬間に熱を奪われ、温度が急降下する「熱復帰力(リカバリー性能)」の弱さがその真相です。
一般的な家庭用コンセント(AC100V電源)に接続するヘアアイロンの消費電力は、立ち上がり時で約150W〜300W、定格でも40W〜60W前後の電力を安定してヒーターに供給し続けます。一方、持ち運びを前提とした充電式コードレスヘアアイロンの電源は、3.7V〜7.4V程度のリチウムイオン電池です。瞬時に供給できる電力はせいぜい15W〜25W程度にとどまります。
この電源供給能力の差こそが、充電式コードレスヘアアイロン 温まらない理由の核心です。室温で放置されている冷たい毛束をアイロンプレートで挟むと、熱伝導によってプレートの熱が毛髪へと急速に奪われます。コンセント式であれば即座に通電して元の温度へ瞬時に押し戻しますが、バッテリー駆動の場合は失われた熱を取り戻すまでに十数秒のタイムラグが発生します。その結果、「髪を滑らせている途中でプレートがぬるくなり、くせが伸びない」という体感を生み出してしまう構造です。
加えて、立ち上がり時間にも物理的な差が存在します。家庭用アイロンが30秒〜40秒で160℃まで到達するのに対し、コードレス型は設定温度に達するまで2分〜4分前後の時間を要するケースが主流です。「電源を入れてすぐに使おうとしたら温まっていなかった」という体験が、温まらないという噂に拍車をかけている側面も見逃せません。