手越祐也の20代を語る上で欠かせないもう一つの巨大な柱が、2007年のレギュラー放送開始時から参加した『世界の果てまでイッテQ!』です。日曜夜のゴールデン帯において、彼は従来の「スキャンダルを恐れる清純派アイドル」の枠組みを跡形もなく破壊しました。泥まみれのロケ、無茶振りのドッキリ、過酷な海外ロケでも決して弱音を吐かず、MCの内村光良や宮川大輔からの容赦ないツッコミを「テイッ!」のポーズとともに華麗にいなす姿は、老若男女のお茶の間に強烈なインパクトを残しました。
この番組内で定着したのが、手越のアイコンである鮮烈な「金髪」です。なぜ彼は、男性アイドルの王道であるナチュラルな茶髪や黒髪を捨て、眩いハイトーンを貫き通したのでしょうか。本人が当時のインタビューや手記で語った証言によると、そこには冷徹なまでの戦略眼が存在していました。
「大所帯のグループや大物タレントがひしめく現場で、テレビ画面の端に映ったコンマ数秒で自分だと認識してもらうにはどうすればいいか。答えは圧倒的に目立つ髪色だった」
この言葉が証明するように、金髪は単なる若気の至りや反抗心ではなく、メディアの濁流を生き抜くための武装でした。実際、2013年に放送された田村正和主演の大型ドラマ『松本清張ドラマスペシャル 三億円事件』に実行犯・浜野健次役で出演した際には、役作りのために見事な黒髪へと戻し、そのシリアスな演技力の高さで業界関係者を唸らせました。「普段が金髪だからこそ、黒髪にした瞬間のギャップが最大の武器になる」という二段構えの計算は、20代の手越が持っていたプロフェッショナルとしての凄みを感じさせます。