今節における勝因の真相を解き明かす上で、避けて通れないのが「伝統のスクラム」が生み出した戦術的ドミノ倒しです。京都産業大学といえば、創部以来培われてきた泥臭く愚直なまでのスクラムへのこだわりが代名詞ですが、現在のスクラムは単なるパワー勝負にとどまりません。8人が1ミリの隙間もなく結束し、ヒットの瞬間から第2波、第3波へと体重を伝え続ける「8人一体の超低空推進力」が極限まで研ぎ澄まされています。
勝敗の分水嶺となったのは、後半20分過ぎ、自陣ゴール前で迎えた最大のピンチでした。相手の猛攻にさらされ、ペナルティを犯せば逆転を許しかねない極度の緊張状態において、京産大パックは渾身のスクラムで相手フォワードを文字通り粉砕。相手のコラプシング(故意にスクラムを崩す反則)を誘い、雄叫びとともに窮地を脱しました。このワンプレーが相手チームの精神的な支柱を完全にへし折り、直後の決定的な追加点へと繋がったのです。
試合後の記者会見で広瀬佳司監督が「厳しい時間帯に自分たちの原点であるセットピースに立ち返り、自信を持って押し切ってくれた」と語った通り、極限状態での原点回帰こそが勝利を呼び込みました。華やかなバックスのトライの裏には、80分間泥にまみれて押し続けたフォワード陣の献身という、揺るぎない勝因が存在していました。