どれほど警戒していても、不意の接触によって蜂に刺されてしまう事態は起こり得ます。厚生労働省の人口動態統計によると、日本国内では毎年10名から20名前後が蜂刺されによるアナフィラキシーショックで命を落としています。刺された瞬間の適切なファーストエイドが、生死を分ける分岐点となります。
刺された直後の応急手順は以下の4ステップです。
- 速やかな退避:刺した蜂は警報フェロモンを放散し、周囲の仲間を呼び寄せる習性があります。まずはその場から速やかに10メートル以上離れ、安全な屋内や車内へ避難します。
- 毒の絞り出しと冷水洗浄:刺された患部を指で強くつまみ、体液とともに毒を体外へ押し出します。このとき口で毒を吸い出す行為は、口内の微細な傷から毒が血中へ侵入するため厳禁です。ポイズンリムーバーがあれば活用し、同時に大量の流水で傷口を徹底的に洗い流します(蜂毒は水溶性タンパク質のため、水で流すことが効果的です)。
- 薬の塗布と冷却:抗ヒスタミン軟膏(ステロイド含有のものが望ましい)を患部に塗り、保冷剤や氷嚢で冷やして毒の巡りを遅らせます。アンモニア水を塗るという古い民間療法は全く効果がなく、皮膚炎を悪化させるだけです。
- 全身症状の監視:刺されてから15分〜30分以内に、全身の蕁麻疹、激しいかゆみ、吐き気、冷や汗、呼吸困難、意識の混濁などの症状が現れた場合は、即座に119番通報を行い、救急車を要請してください。これは命に関わるアナフィラキシーショックの典型的な兆候です。