プロポーズの前後で読者に最も強い衝撃を与えたのが、壬氏が自らの身体に牛用の焼き印を押した事件です。なぜ絶世の美男子である皇弟が、そこまでの暴挙に出なければならなかったのでしょうか。
美貌という呪縛からの解放と皇位の辞退
壬氏(華瑞月)は、生まれながらにして天下一の美貌と皇族の血筋を持っています。しかし彼自身は権力争いや帝位への即位を激しく嫌悪していました。自らが皇帝になれば、愛する猫猫を政治の生贄にすることになり、自らも自由を失うからです。
壬氏が焼き印を押した理由は主に2つあります。
- 皇位継承順位の意図的な引き下げ:身体に傷や欠損がある者は皇位継承者として不適格とされる風習を利用し、自らを帝位レースから脱落させるため。
- 猫猫ひとりを愛し抜くための決意表明:「自分は国ではなく、一人の女を選ぶ」という、己の肉体を代償にした不可逆の宣誓。
この痛切な行為を目撃した猫猫は、壬氏の常軌を逸した重すぎる執着に戦慄しつつも、彼の孤独と苦悩の深さを痛烈に思い知ることになります。