18世紀から19世紀にかけてマリー・アントワネットやナポレオンの皇后ジョゼフィーヌに愛された宮廷画家、ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ。彼が残した精密なボタニカルアート(植物画)は、現代のイラストレーターにとっても最高の教科書だ。彼の作品を観察すると、複雑な大輪も正確な「線画イラスト」の積み重ねで構成されていることがよくわかる。
デフォルメされた簡単なイラストであっても、植物学的な観察眼をほんの少し取り入れるだけでクオリティは格段に上がる。例えば、葉の脈を直線ではなくわずかに弧を描くように入れる、あるいは萼(がく)の形状を観察してシャープに描く。こうした古典的名画に学ぶ観察の工夫こそが、シンプルでありながら安っぽく見えないイラストの秘密と言える。