1970年代から80年代にかけて、お茶の間のアイドルとして絶大な人気を誇ったのが母・坂口良子さんだった。愛くるしい笑顔と確かな演技力で、倉本聰脚本の名作『前略おふくろ様』の「かすみ」役や、国民的ドラマ『池中玄太80キロ』など数々のヒット作に出演。TBSテレビをはじめとするキー局のドラマで主演・ヒロインを張り続け、誰もが認める国民的女優へと登りつめた。
私生活では波乱も多かった。前夫との離婚後、シングルマザーとして二人の子どもを引き取り、莫大な借金を返済しながら女手一つで育て上げた。多忙を極める撮影の合間にも手料理を作り、過保護なまでに娘へ愛情を注ぎ続けた母の姿は、関係者の間でも有名だった。娘を守りたいという強烈な母性は、皮肉にも後に深い依存と喪失感を生む土壌となっていく。