昭和初期の文学界を駆け抜けた中原中也の実際の体躯について、客観的な記録がしっかり残されている。当時の徴兵検査における公式な記録によれば、彼の身長はおよそ150cm。当時の成人男性の平均身長(約160cm前後)と比較しても、はっきりと小柄な部類に入っていた。
ダボっとした黒い外套を羽織り、深く帽子をかぶった彼のシルエットは、どこか愛らしくもあり、同時に触れるものを拒絶するハリネズミのような刺々しさを孕んでいた。自身が抱く巨大な自我と、150cmという小柄な肉体。その強烈なアンバランスさこそが、彼の内に鬱屈したエネルギーを蓄積させ、鋭利な詩情へと昇華されたのだという見方は根強い。