昭和40年代に入ると、この「やまてせん」という呼称に重大な実務上の支障が生じるようになりました。決定打となったのは、神奈川県横浜市を走る国鉄根岸線の延伸開業です。
1964年(昭和39年)、根岸線に「山手駅(やまてえき)」が開業しました。これにより、全国の駅窓口や旅行代理店において、東京の環状線である「山手線(やまてせん)」と、横浜にある「山手駅(やまてえき)」を取り違える発券ミスや、乗客の誤乗トラブルが頻発する事態となりました。
当時の国鉄運転局関係者の記録によると、「自動券売機が未発達で硬券切符を手売りしていた時代、窓口での聞き間違いによるトラブルは看過できない規模に達していた」と記されています。
こうした混乱を抜本的に解消するため、国鉄は1971年(昭和46年)3月7日、関係各所へ通達を出し、路線名の呼び方を原点である「やまのてせん」へ正式に戻すことを決定しました。同時に駅名看板のローマ字表記もすべて「YAMATE」から「YAMANOTE」へと書き換えられました。