作中に登場した奇行種の中でも、物語の謎を解き明かす鍵となった象徴的な個体を振り返ると、その行動がいかに生前の背景と密接に結びついていたかが浮き彫りになります。
1. 「イルゼの手帳」に登場した喋る奇行種
第34回壁外調査で調査兵イルゼ・ラングナーと遭遇した個体です。この巨人はイルゼを捕食せず、頭を垂れて「ユミル様…」「よくぞ…」と言葉を発し、自らの顔面の肉を激しくむしり取る自傷行為を見せました。その正体は、マーレの収容区でかつて信奉されていた「少女ユミル(後のユミル・フリッツを模した教祖)」のカルト教団信者でした。イルゼの容姿が教祖ユミルに酷似していたため、「信仰心と敬愛の念」が巨人の捕食衝動に打ち勝ち、一時的に人間の言葉を紡ぎ出した極めて切ない奇行種です。
2. コニー・スプリンガーの母親(ラガコ村の巨人)
ジークの叫びによって村人全員が巨人化させられた際、コニーの実家で横たわっていた個体です。手足が極端に細く立ち上がれない体躯でありながら、帰郷したコニーに対して喉を震わせ「オ…カ…エ…リ」と言葉を絞り出しました。息子への無償の愛情が生前の記憶として残り、捕食行動を起こすことなく我が子を迎え入れた姿は、読者に強烈な衝撃を与えました。
3. ロッド・レイス巨人(超大型を超える超巨大型奇行種)
ヒストリアに拒絶されたロッド・レイスが、床にこぼれた巨人化薬を口から直接舐め取ったことで変異した120メートル級の巨人です。注射による適正な体内投与を行わなかったこと、および王家の血筋が歪んだ形で作用した結果、顔面や内臓を地面に擦り付けながら這い進み、熱源と人間が大量に存在するオルブド区へひたすら進軍する規格外の奇行種となりました。
4. サンタクロース風の髭を生やした巨人
トロスト区攻防戦でアルミンを飲み込もうとし、代わりにエレンを捕食した個体です。実はこの巨人の正体は、かつてグリシャ・イェーガーと共に「エルディア復権派」として活動し、パラディ島へ楽園送りされた同志の老人でした。彼がエレンを咀嚼せずに丸呑みしたことで、エレンの体内で「進撃の巨人」が覚醒することになりました。