ビジネス現場の敬語エラーを調査した各種実態データによると、入社数年目の中堅層であっても約4割以上が「行く・来る」の敬語変換で誤用を経験したことがあると回答しています。特に警戒すべき代表的な落とし穴を検証します。
誤用例1:「〇〇部長が会場へ参られます」という致命的ミス
「参る」という響きが丁寧であるため、「参る+られる」で最上級の尊敬語になると勘違いしてしまうケースです。
「参る」はあくまで自分側をへりくだらせる謙譲語です。そこに尊敬の「られる」を重ねても尊敬語にはならず、目上であるはずの上司を自ら下げるという支離滅裂な文章になってしまいます。正しくは「〇〇部長が会場へいらっしゃいます(おいでになります)」です。
誤用例2:「いらっしゃられる」「おいでになられる」という二重敬語
相手を敬う気持ちが強すぎるあまり、すでに尊敬語である単語にさらに尊敬助動詞「られる」を足してしまうミスです。
- ❌ 誤り:社長は明日、大阪支社へいらっしゃられますか?
- ⭕ 正解:社長は明日、大阪支社へいらっしゃいますか?
- ❌ 誤り:会場へおいでになられました。
- ⭕ 正解:会場へおいでになりました。
二重敬語は文法的に不自然であるだけでなく、教養や敬語理解の浅さを露呈させてしまう要因になります。
「行く」の尊敬語における過去形の正しい処理
ビジネスの現場では、「過去にそこへ行ったかどうか」を確認する場面が頻出します。過去形にする際も、語幹を崩さずに丁寧な過去形「〜ました」を付与します。
- 「いらっしゃる」の過去形 ➡ 「いらっしゃいました」
- 「おいでになる」の過去形 ➡ 「おいでになりました」
- 「行かれる」の過去形 ➡ 「行かれました」