身そのものが安全圏内であるにもかかわらず、臨床の現場で「エビを食べた後に痛風発作を起こした」と訴える患者が後を絶たないのはなぜでしょうか。取材で見えてきたのは、食材単体の数値では測れない3つの危険な盲点です。
1. 「エビの頭・ミソ」の濃厚なプリン体爆弾
エビ好きが最も愛する「頭部の殻を外してすするエビ味噌」や「頭ごと素揚げした唐揚げ」。実は、内臓組織である中腸腺(肝膵臓)や生殖巣は細胞分裂が極めて活発であり、細胞核(核酸)の塊です。身の部分が100gあたり150mg程度であっても、頭部の内臓部分は300mg/100gを遥かに超える超高濃度プリン体を含有しています。さらに、頭部を出汁にして煮詰めた濃厚なエビ汁は、水溶性であるプリン体が汁中に余すところなく溶け出しているため、尿酸値を急激に跳ね上げる引き金になります。
2. 天ぷら・エビフライによる「内因性尿酸」の産生促進
エビ料理の王道である「天ぷら」や「エビフライ」。衣が大量の油を吸収した高カロリー料理を過剰摂取すると、血中の遊離脂肪酸が急増します。高脂質・高エネルギー食は肝臓での尿酸合成を促進するだけでなく、腎臓からの尿酸排泄機能を直接阻害します。エビのプリン体量(外因性)だけに気を取られ、調理法によって引き起こされる脂質過多(内因性の排泄障害)を見落とす人が極めて多いのが実態です。
3. ビールとアルコールが引き起こす「脱水と乳酸の二重苦」
居酒屋でエビの塩焼きやエビチリをつまみにビールをあおる光景は珍しくありません。しかし、アルコールが体内で分解される過程で生じる乳酸は、腎臓の尿細管において尿酸の排泄経路を競合し、尿酸を体内に留まらせてしまいます。加えてアルコール自体の利尿作用による脱水が加わると、血中尿酸濃度は文字通り急上昇します。エビが悪いのではなく、「エビ+酒+水分不足」の複合作用が発作の決定打となっているケースが大半です。