神谷明氏が演じた13年間の毛利小五郎は、まさに圧倒的な存在感に満ちていた。「ハーハッハッハ!」という高らかな高笑いや、アイドル・沖野洋子を前にしたデレデレな声色変化。声の振れ幅の大きさは、アニメ初期のコメディラインを強力に牽引した。
しかし、神谷小五郎の真骨頂は単なるギャグキャラにとどまらない。劇場版『水平線上の陰謀(ストラテジー)』で見せた、犯人を追い詰めるクールな推理シーン。親友や妻・妃英理が絡む事件で見せる泥臭い男気。神谷氏は、普段のだらしなさとシリアスな表情のギャップを極限まで高めてみせた。
この「普段はダメ親父だが、いざとなれば誰よりも頼りになる」というキャラクターの基本構造は、神谷氏の超絶的な演技力によって強固に確立されたと言っていい。