一般的に心原性脳梗塞は「前触れなく突然起きる」とされますが、実際には発症前の数日から数週間前に、微小な血栓が一時的に詰まって自然に溶ける一過性脳虚血発作(TIA)を起こしている事例が少なくありません。「ほんの数分だけ手足の力が抜けた」「一瞬だけ呂律が回らなくなったが、すぐ治った」という現象は、巨大な本発作が迫っている危険信号です。
急性発症が疑われる場面では、世界的な救急標語である「FAST(ファスト)」による即座の確認が推奨されています。
【FASTによる緊急チェック項目】
・F(Face:顔の麻痺):「イー」と笑顔を作らせたとき、左右どちらかの口角が下がる。
・A(Arm:腕の麻痺):両腕を前にまっすぐ伸ばしたとき、片方の腕が自然と落ちてくる。
・S(Speech:言葉の障害):短い文章を復唱させたとき、ろれつが回らない、言葉が出ない。
・T(Time:時刻の確認):上記1つでも当てはまれば即座に119番通報し、発症時刻を救急隊に伝える。
「様子を見よう」という数時間の躊躇が、取り返しのつかない脳細胞の死滅を招きます。ためらわずに救急車を呼ぶ判断が、その後の人生を大きく左右します。