掲示板で頻繁にトレンド入りする「暴落」の二文字ですが、感情論を排して客観的な事実を追っていくと、東京エレクトロン株価暴落理由には明確な構造的要因が存在します。表面的な値動きに惑わされないためには、世界規模で動く半導体サプライチェーンの地殻変動を把握しなければなりません。
株価下落をもたらす最大の外的要因として市場が警戒し続けているのが、半導体株下落の真相に直結する米中半導体摩擦です。米国政府による対中半導体製造装置の輸出規制強化は、同社の売上構成に無視できない影を落としてきました。東京エレクトロンは成膜装置やコータ・デベロッパ、エッチング装置において世界トップクラスのシェアを誇りますが、一時期は中国市場向け売上比率が4割近くまで急拡大していた経緯があります。このため、規制リスクがニュース速報で流れるたびに、海外ヘッジファンドが先物主導で一斉に売りを浴びせるトリガーとなってきました。
もう一つの要因は、半導体製造装置市場動向における循環的な波(シリコンサイクル)と、AIブームに伴う設備投資サイクルの過熱感です。最先端のAI半導体向け装置需要(2nm世代への移行やHBM向け先端パッケージング装置)は極めて旺盛である一方、PC・スマートフォン・一般家電向けのレガシー半導体や汎用メモリ装置の需要回復ペースには波が生じます。この「先端分野の爆発的成長」と「汎用分野の一時的な調整」という二面性が生み出す業績の端境期に、高値圏で過熱していたバリュエーション調整が重なることで、市場の急激な下落ショックが発生するのです。