蓬莱山輝夜を語るうえで避けて通れないのが、妹紅こと藤原妹紅との深遠な愛憎関係である。『竹取物語』において求婚に失敗した藤原不比等の娘である妹紅は、輝夜が残していった「蓬莱の薬」を奪って服用し、同じく不老不死の怪異となった。二人は千年以上もの長きにわたり、互いを殺し合い、蘇生し合うという凄惨かつ奇妙な「日常」を繰り返している。
この関係性は、単なる宿敵という概念を遥かに超越している。死が存在しない世界において、互いの存在だけが自らの記憶と正気を繋ぎ止める唯一の錨なのだ。永遠の時間を共有できる唯一の理解者であり、絶対に決着のつかない争いを繰り広げる二人の絆は、ファンタジー文学としての深みをファンに提示し続けている。