一口にどじょう鍋と言っても、仕立て方によって味も食感もまったく異なります。どじょうの形状や調理アプローチによる違いを把握しておくことが、失敗を避ける第一歩です。
最もオーソドックスで江戸情緒を味わえるのが「丸鍋(まるなべ)」です。生きたどじょうに酒を振りかけて酔わせ、味噌仕立ての出汁などで骨が柔らかくなるまで下煮した後、平たい鉄鍋に並べて甘辛い割り下で煮込むスタイルを指します。骨や内臓を含めた魚全体の旨味とホロホロと崩れる身の柔らかさをダイレクトに味わえるため、通好みの看板メニューです。
一方、初心者に最も適しているのが「柳川鍋(やながわなべ)」です。どじょうを背開きにして頭と内臓、太い骨を取り除き(この状態を「ぬき」「ほねぬき」と呼びます)、ささがきごぼうとともに甘辛い出汁で煮て、最後に溶き卵でふんわりとじる料理です。ごぼうの芳醇な土の香りと卵のまろやかさが魚のクセを完全に包み込むため、泥臭さや骨っぽさは一切感じられません。
骨の食感だけを避けたい場合は、開いた身をそのまま鍋で煮る「ほねぬき鍋」を選ぶのも賢い選択です。初心者がいきなり丸鍋に挑戦して挫折するのを防ぐには、まず柳川鍋やほねぬきから入り、独特の旨味に舌を慣らしていくルートが最も確実です。