スーパーマーケットや大手コンビニエンスストアでは普及に苦戦した昆虫食が、なぜドン・キホーテの店頭では定番商品として定着しているのでしょうか。その背景には、若年層を中心とする「体験消費」と「SNS時代のコミュニケーションツール」としての需要構造があります。
ドン・キホーテの顧客層は、深夜帯の若年グループやイベント前の買い出し客が多くを占めます。昆虫食は単なる栄養補給の手段ではなく、以下のような心理的動機によって購入されています。
① 承認欲求とリアクション動画のコンテンツ化
YouTube、TikTok、Instagramのリール動画において、「ドンキで買ったタランチュラを食べてみた」という企画は手軽に高再生回数を狙える定番フォーマットです。見た目のグロテスクさと実食時の絶叫は、極めて高いエンゲージメントを生み出します。
② 宴席や合宿における「罰ゲーム」の公認アイテム
かつて罰ゲームの定番だった激辛食品や苦味茶に加え、昆虫食は「合法的に盛り上がる安全なリスク体験」として選ばれています。1袋1,000円〜2,000円という価格設定も、友人グループで割り勘にすれば手頃なエンタメ費として受容されます。
③ 非日常空間としての「ドンキ」のブランド親和性
雑多なPOPと迷路のような陳列が特徴のドンキにおいて、昆虫食は店舗のテーマパーク性を象徴するアイコンとして機能しています。買い物客にとって「見つけて驚き、写真を撮って共有する」こと自体が店舗体験の一環となっています。