事件発生直後から、インターネット空間では容疑者らの顔写真やSNSアカウント、過去の交友関係が瞬く間に特定され、デジタルタトゥーとして拡散した。Yahoo!ニュースのコメント欄やSNS上では怒りの声が沸騰し、私刑を容認するかのような過激な言説が溢れかえった。
NHK NEWS WEBをはじめとする主要な報道機関は、事実確認を重んじた慎重な報道姿勢を貫いたものの、ネットメディアのセンセーショナリズムとの間で情報の非対称性が生じる事態となった。事実無根のデマや無関係な第三者への誹謗中傷が横行したことは、デジタル時代における事件報道の危うさを如実に示している。
ジャーナリズムが果たすべき真の役割とは何か。ただ単に人々の覗き見趣味や処罰感情を煽るのではなく、事件の本質的な背景を丹念に掘り下げ、制度的・構造的な欠陥を社会に問いかけることにある。情報の濁流の中で、報道機関の倫理と矜持がかつてないほど試されている。