バンドの解散劇において、これほど徹底され、緻密に演出された幕引きは他に類を見ない。ラストアルバムとなった『THE END』は、ビートルズが伝説を刻んだ英国のアビイ・ロード・スタジオでレコーディングされた。志磨遼平はバンド結成の当初から「自らのロックンロール神話をどのように終わらせるか」を冷徹なまでに逆算していたという。
アルバムの発表と同時に解散を告げるという衝撃の手法。そこには単なるメンバー間の不仲や燃え尽き症候群といった安易な理由は存在しない。彼らにとってバンドとは、完結したひとつの総合芸術作品であった。ロックバンドが老いさらばえ、惰性で続くことを志磨の美学は許さなかったのだ。自ら生み出した怪物を、自らの手で最も美しい瞬間に葬り去る。『THE END』のストリングスとピアノが織りなす荘厳な響きは、死を迎えることで永遠を手に入れたバンドの、あまりにも壮絶な遺言状だった。