受験市場において長年囁かれてきた「獣医学部は医学部(医学科)に学力が届かない層の滑り止め」という言説は、現場の最新データに照らし合わせれば明らかな誤謬です。駿台予備学校や河合塾の最新入試動向分析によると、東京大学理科二類(獣医学専修へ進学)や北海道大学共同獣医学部、大阪公立大学獣医学部の難易度は、中堅から地方国立大学の医学部医学科と完全にオーバーラップしています。
獣医と医学部の難易度比較を行う上で決定的に見落とされがちな要素が、国公立における「絶対的な定員枠の少なさ」です。医学部医学科の全国定員が約9,000名規模であるのに対し、国公立獣医学部の募集人員は全国11大学を合計してもわずか370名程度。この極端な枠の奪い合いが、共通テストの1点差で合否が左右される極限のチキンレースを生み出しています。
大手予備校の進路指導担当者は次のように証言します。「国公立前期日程において、北海道大や東京農工大の獣医志望者は共通テスト得点率82〜85%を確実に確保してきます。仮に共通テストで失敗した際、医学部であれば地方の配点比率が異なる大学へ出願変更する選択肢が残されていますが、国公立獣医は選択肢そのものが全国で11校しか存在しないため、偏差値の逃げ場が事実上存在しません」。