滝汗に慌てるあまり、多くの人が良かれと思って実践している対策の中に、かえって発汗を助長してしまう「誤ったケア」が存在します。その最たる例が、冷えたおしぼりや氷嚢で額や顔だけを過剰に冷やす行為です。
顔の表面温度だけを急激に冷やすと、皮膚の知覚神経が「局所が極端に冷やされた」と感知し、生体防御反応として血流を増やそうとしたり、冷やすのをやめた瞬間に激しいリバウンド発汗を起こしたりします。冷却すべきは顔面ではなく、血液が循環している首元(頸動脈)や脇の下です。
また、汗を乾いたタオルやハンカチでゴシゴシと擦り取る行為も厳禁です。汗を完全に拭き去ってしまうと、気化熱による体温冷却が行われないため、脳は「体温が下がっていない」と判断してさらに汗を分泌し続けます。正しいケアは、濡らした清潔なハンカチや汗拭きシートで、頭皮や生え際を「軽く押さえるように湿り気を残して吸い取る」ことです。水分が蒸発する際の自然な気化熱を促すことで、発汗中枢を迅速にクールダウンさせられます。